六次産業化プランナーとして

 

 私は、6次産業化について以下のように考えております。

 

(1)事業の目的及び効果

     農林漁業者等の所得の向上や農山漁村地域における雇用の確保、地域の活力の再生を図るためには、その地域に由来する農林水産物やバイオマス等の資源を有効活用し、高付加価値化による新たな魅力ある商品の開発・提供や地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等が必要です。

 

  ①事業の目的

    ア.農林水産業の活力再生に向けた6次産業化推進事業の支援

     わが国の農林水産業は、農林水産物の価格の低迷による所得の減

少、少子高齢化に伴う農林漁村の後継者不足と疲弊、過疎化の進展、

経済のグローバル化への対応等多くの課題・問題点を抱えており早

急にその活力の再生が求められています。

そのことは主要産業(農業生産額(10年度)4,151億円(4)

を農林水産業に持つ鹿児島県においても同様です。

鹿児島県は牛、豚、鶏、ソラマメ、さつまいも、砂丘ラッキョウ、

養殖ウナギ、カツオブシ、竹材等々日本一の生産量を誇ると同時に

高いブランド力を持ったものも多く有しております。

 しかし、潜在的な能力はありながら、十分に活用されていないの

が現状です。このため、単に農林水産物の生産に留まることなく、

事業の多角化および高度化によって社会のニーズ・ウォンツに対応

した高付加価値商品の開発・販路(開拓および拡大)といった6

産業化事業の推進が必要かつ重要になってきています。

 

   イ.課題・問題点対応と専門的実践者による具体的な支援

     このような課題・問題点に対応するために、農林水産業の支援に

携わる専門的実践者やプランナー(ボランタリ―、6次産業化)および6次産業化推進企画委員会(仮称)、県・地方公共団体、地域ファンド等々の英知を結集して、新たな視点からの取組が必要です。

 当鹿児島県中小企業診断士協会は、農林水産業支援・助言等長年

に渡り蓄積したノウハウ・人脈を活用し、関係機関および農林水産

業経営支援機関等との強い連携による総合的な支援を実施します。

 

 

   ウ.事業の進行管理・情報発信および事業のフォローアップ

     前述したとおり、多くの課題・問題点に直面している農林漁業者

    等に対して支援を継続的に行っていくためには、6次産業化推進企画

委員会との連携は勿論、個別相談会(事案の発掘、農林水産業者のニ

ーズ・ウォンツに応じたプランナーの派遣、事案のスクリーニングや

ブラッシュアップ、認定事業者の経営の段階に即した課題解決のため

の助言等および認定事業者の事業計画のフォローアップ活動の強化

や施策活用のアドバイス等々)を実施します。

また、実践研修会の開催(ニーズ・ウォンツの把握、開催PR・

募集、地域センターとの連携による関係団体への個別説明会の開催、

受講生からのアンケート集約・分析等)を実施します。

さらに交流会の実施(ニーズ・ウォンツの把握、開催PR・募集、

産業連携ネットワークの活用、参加者からの評価アンケート集約・

分析、他産業とのマッチング交流会開催等々)を単独で行うほかに

他のサポートセンターとの共同開催も視野に入れて実施します。

遂行の過程ではPDCAサイクル(P:計画 D:実行 C:評

    価・分析 A:改善)を回しながら潜在能力を顕在化して社会のニ

ーズ・ウォンツに対応した新たな事業を育てる支援を実施します。

 また、これらを支援・遂行する要となる6次産業化プランナーの

日程調整、進行管理および評価も農林漁業者等へのアンケートや現

地でのヒアリング等の手法を用いて適時実施します。

そして、6次産業化推進事業の目的である農林漁業者等の所得の向

    上や農山漁村地域における雇用の確保、地域の活力の再生に貢献し

    ます。

 

  ②事業の効果

    前述①の事業の目的を達成することによって、以下のような効果を得

   ることが出来ます。

     ア.農林漁業者等の意識改革と地域の活性化

     鹿児島県内の各地域における特色ある地域資源としての農林水産物

を活用した新商品の開発・販売を通じた新たな事業や就業機会の確保

を推進することで、若者の農林水産業離れや農林漁業者等の意識改革

を図り、地域における農林水産業の活力の再生に寄与、ひいては地域

の活性化の具現が期待できます。

 また、常設相談窓口および鹿児島県内の拠点において相談窓口を設

置することにより各地域の農林漁業者等の相談に対して、きめ細かな

対応、案件の発掘、ブラッシュアップやフォローアップ活動、6次産

業化の啓蒙活動やパンフレット等による情報発信を行うことを通じ

て、6次産業化への取り組みが自主的に行われるようになることでも

地域の活性化に結びつきます。

 

   イ.6次産業化の具体的・実践的相談業務とフォローアップ体制の構築

     農林漁業者等が地域資源と産業を結びつけ活用するために必要な6次産業化への施策やノウハウ等を含めた具体的かつ実践的な各種の相談ができる窓口の構築、また、6次産業化推進企画委員会、県・地方公共団体等およびその支援機関、地域ファンド、支援事業者、プランナー(ボランタリ―および6次産業化)等が一体となったフォローアップ体制の構築が確立されます。

 

   ウ.雇用の確保、所得向上

     本支援事業で掲げた定量的数値目標の達成により、鹿児島県における農林漁村地域における雇用の確保、所得向上の実現へ向けてのステップとすることが出来ます。